***おさななじみのかのじょ***






私のおさななじみのちー子はとってもかわいくてかわいくてかわいい。
何がかわいいってしぐさがかわいい。
何がかわいいって笑顔がかわいい。
何がかわいいって声が萌える。

萌えもえでにゃんにゃんでぷーな感じ。




「でも顔は十人並みだよね」
「なにがよ」
 あーまたわたしのこと考えてたんでしょー!とぽかすかと頭を叩かれる。
「うんそうだよそうそう。わたしが考えていることなんて60パーがあんたのこと」
「その60パーで私の顔が十人並みだということを考えていたわけね」
「まあ、そういうことになるのかな」
 きいいいいいいいいっっと叫んでまたぽかすかぽかすか叩いてくる。
 あーあーそんなに怒らなくても。だってちー子はこんなにかわいいのに。
「……顔が十人並みでもさ、ちー子はすんごくかわいいよ」
「なにそれそれってすっごくうれしくない」
「私はあんたが世界一だと思ってる」
 声を潜めて少しだけ、心をこめて、言ってみた。
 世界一。
 なんて素敵な言葉なんだろう。


「……ふう、」
 ちー子はじいっと私の顔を見つめて、肩をすくめてため息をひとつ。
「あんた、……ばかでしょ」
「馬鹿かなあ」
「そうよ」
「そうかなあ」
「そう」
 でもだってほんとうに、ちー子はかわいいのだ。
 こんなにかわいいのに、世界で一番かわいいのに。

 どんな女優だってどんなモデルだってどんなハリウッドスターだってちー子にはかなわない。
 どんなに評判な美人だってどんなにかわいい子だってちー子のほうがよっぽどかわいい。

「こんなにかわいいのに、なんでもてないんだろうね」
 まじまじと見つめる私の目を、ちー子のてのひらが覆う。
 視界をさえぎられ、かわいいちー子が見えなくなり、わたしはちょっと悲しい。
「あんたはほんと、よけいなひとことがむかつく奴だよね」
「そっかな」
「そーよ」
 それに、あたしのことかわいいだなんて言ってるのあんたぐらいよ、なんて言って、でもありがとう、とつぶやいた。
 ありがとう、って照れたような、そんな声。

「……やっぱりちー子はかわいーよ」
「今日は何して遊ぼうか」
 愛の告白も、かるーく無視されて手のひらがぱっと離される。
 私の視界にはまたかわいいちー子。
 ちー子のほっぺたが、すこしだけ赤いのが見えた。


 おひさまはきらきら。風はそよそよ。緑はぴかぴか。となりには、ちー子。

 なんて素敵な休日。

 そうだねえ、と私は言って、とりあえずかわいいちー子のてのひらを握った。






おわり






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